一昨日に初日を迎えました!家、プロデューサーのコメントです。
脚本:三上陽永(ぽこぽこクラブ)
今回初めて実際にあった事件を下地に物語を創作しました。執筆の為に、専門家や関係者の方々に取材をするのも初めての経験でした。同郷で同じ高校の先輩が起こした「ある事件」と向き合う事は、決して他人事ではない恐怖と、自分の中にもある焦りや、不安、孤独、衝動と向き合う事でもありました。
「三上君が本当に書きたいのは事件じゃなく、家族じゃないの?」
第一稿を読んだ日澤さんの感想を聞いて、やっと脚本の方向性が見えた気がしました。
作品は、自分にしか書けない「ある事件」のもう一つの側面を描く、加害者家族の物語になりました。我儘に書いた本を丁寧に立ち上げてくれた日澤さんを始めとする、役者、スタッフに感謝。改めて演劇が持つ人の温もりを感じました。劇場で、流れる血のあたたかさを感じて頂けたら幸いです。
演出:日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)
今回も無事に初日を迎えられたことに安堵しております。
『流れる血、あたたかく』において、劇作家の三上陽永さんと協業できた時間はとても
豊かなモノでした。物語を立ち上げながらこの作品を通して人間の面倒臭さと愛おしさを
探求する三上さんの眼差しはとても誠実で、殺伐とした世界に一筋の光を射しこませます。
僕もその誠実さに後押しされながら、それぞれのシーンに込められた想いを必死に形に
致しました。決して楽に見られる作品ではございませんが、小劇場ならではの緊密な空間
を体感して頂ければと思います。Space早稲田でお待ちしております。
プロデューサー:流山児祥(流山児★事務所)
『流れる血、あたたかく』は、ある無差別殺傷事件の加害者家族の「崩壊」と、その「家族の再生」を願う《鎮魂の旅》のドラマ。私たちが目撃するのはニンゲン存在の「わからなさ」です。でも、わからないからこそ私たちは《アナタ=他者》を求め、知ろうと《旅》をするのでしょう。また、三上陽永の故郷の風景、自らの青春時代の記憶を生々しく交錯させたある意味、私的ドキュメンタリー風フィクションでもあります。演出の日澤雄介のシャープで乾いたタッチで描く濃密な時間、Space早稲田でしか体験できない劇。2面客席になっているので、反対側でのご観劇もぜひお試しください。